C言語のメモリリーク監視ツールとしてはmtraceが有名ですが、ソースコード中にmtraceの関数を埋め込んでおく必要があるので、ちょっと面倒です。
そこで、ソースコードの修正なしにメモリリーク監視ができるツールを作ってみたので、ネットの海に流してみることにしました。車輪の再発明の可能性も高いですが、そこは気にしないということで…。
作成したツール
今回作ったツールは以下のリポジトリで公開しています。名前は「動的に確保されたメモリの監視(Monitoring Dynamically Allocated Memory)」の略で「mdam」としました。
ツールと言っても中身は共有ライブラリ(mdam.so)で、以下のようにメモリリークをチェックしたいプログラムの実行時に、LD_PRELOADでこのライブラリを読み込むようにします。
$ LD_PRELOAD=mdam.so <executable file>
もしメモリリークが起きていれば、プログラム終了時に以下のようなログが表示され、メモリリークを起こしている関数やそのサイズが分かります。さらに詳しい使い方はgithubのREADMEにもまとめてみました。
Address Size (byte) Return address Caller
----------------------------------------------------------
0x5596930c3260 15 0x5596916d38fc main
0x5596930c32d0 30 0x5596916d390a main
0x5596930c34b0 512 0x5596916d3932 main
0x5596930c36e0 552 0x7efe7f956e4a fopen
mtraceと異なり、プログラム実行時にロードしてあげるだけでよいので、ソースコードの改変なしにメモリリークを追えることが利点です。
逆に、プログラム全体が監視の対象となるので、mtraceのように特定箇所のリークだけをチェックするというような柔軟性はありません。
仕組みをちょっとだけ解説
上述の使い方にもあるように、mdamではLD_PRELOADの仕組みを利用しています。
LD_PRELOADで共有ライブラリを指定すると、そのライブラリに定義された関数が優先的にリンクされるようになります。その関数定義を標準関数と同じにしておけば、その標準関数を上書いたりフックすることも可能です。
mdamでは、動的なメモリ操作関数であるmalloc・calloc・realloc・freeの4つをフックしており、メモリの確保と解放を常に内部で記録できるようにしました。200行弱の小さなプログラムなので、興味のある方はソースコードを見てみてください。
まとめ
Linuxかつgccでコンパイルされていることが条件ではありますが、標準関数をフックすると色々とできることが増えて楽しいですね(・∀・)
今回はメモリリークの監視に利用してみましたが、他にも特定の関数が必ず失敗するようにすれば、テストにも利用できそうです。面白い使い道が思いついたら、また形にしてみたいと思います。
ではではノシ