ソフトウェア開発において、品質指標の1つとしてよく用いられるのがカバレッジ(網羅率)です。テストの抜け漏れを見つける上でもカバレッジは大切なのですが、開発言語や環境によってはそもそもカバレッジを取ることが難しい場合も…。
例えば、VisualStudioの場合、C++では上位エディションでないとカバレッジ計測ができません。私もWindowsでのC++プログラムのカバレッジ計測をしたかったのですが、値段が高くて買えるはずもなく…(´・ω・)
何か良い手はないかと探していたところ、OpenCppCoverageというオープンソースのツールを見つけたので、さっそく試してみることにしました。
OpenCppCoverageを入手する
OpenCppCoverageはgithubでソースもインストーラも公開されているので、簡単にダウンロードして使うことができます。この記事を書いている時点では0.9.6.1が最新でした。
今回は環境に合わせて64bit版(上画像の赤枠)をダウンロードしてインストールしました。ちなみに、64bit版でも32bitアプリケーションのカバレッジは取得できるらしいです。
コマンドラインからカバレッジを計測する
OpenCppCoverageは、コマンドプロンプトからカバレッジ計測対象のソースと実行ファイルを指定して使用します。単純に結果をHTML形式で欲しいだけなら、以下のようにコマンドを実行すればOKです。
今回はお試しとして、先日の記事で紹介したOpenGLのサンプルプログラムでカバレッジを計測してみます。
コマンドを叩いてみたところ、以下のような出力とともに計測対象のプログラムが実行され、同時にカバレッジの計測結果も出力されました。
上画像の赤枠のように計測結果の保存先もコンソール上に出力されるので、あとはその結果を確認すればOKです。
HTMLで結果を確認できる!
計測結果の保存先に「index.html」ができているはずなので、これを開いて結果を確認します。すると、以下のようにプログラム全体での網羅率が表示されました。これだけでも個人的にはかなり感動です( ;∀;)
今回はわずか数十行のプログラムだったので網羅率も100%となっています(サンプルとしてはあまり面白くないかも…)。見た感じだと、C0カバレッジ(命令網羅)の値を計測しているようですね。
ソースコード単位の結果表示にも対応
トップページからのリンクを辿れば、以下のように各ソースコードにおけるカバレッジも確認できます。
実行された行には緑の色が付くので、パッと見で通過した処理がわかりやすくてとても便利です。画像では日本語のコメントが文字化けしていますが、カバレッジの結果を確認するだけであれば特に問題ありません(・∀・)
まとめ
OpenCppCoverageを使って、Windows環境でもかなり簡単にC++プログラムのカバレッジを計測することができました。ただ、リファレンスを見てもC1/C2カバレッジを計測するオプションが見当たらなかったので、これらのカバレッジを求める場合には使えないかも…。
とはいえ、フリーのツールでここまでグラフィカルに結果を確認できるだけでも十分に便利だと思うので、Windows上でのカバレッジ計測にお困りの方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
また、VisualStudio2015以降であれば、そのプラグインとしても提供されているようなので、いずれはそちらも試してみたいです。
ではではノシ