C# プログラミング

【C#】共有メモリを使ってプロセス間でデータを共有する方法

今回はC#を使ってプロセス間でデータを共有する方法を調べてみたので、その覚え書きです。

やりたかったことは、「あるプロセス内で処理した情報を別のプロセスから取得する」ということだったのですが、共有メモリを使えばそれができることが分かりました。

MemoryMappedFileを使う

C#で共有メモリを扱うには、MemoryMappedFileという仕組みを使います。これはC言語のmmapみたいなもので、ファイルをメモリ上にマッピングすることができます。メモリ上にマッピングされた1つのファイルを2つのプロセスから覗くことで、データを共有できるわけですね。

書き込み側(サーバー)

まず、書き込み側(以下、サーバー側)です。1つの整数値を共有メモリに書き込むサンプルは以下のような感じになります。

C#
using System;
using System.IO.MemoryMappedFiles;

namespace MemoryMappedFileClient {
    class Program {
        static void Main(string[] args) {
            // Open shared memory
            MemoryMappedFile share_mem = MemoryMappedFile.OpenExisting("shared_memory");
            MemoryMappedViewAccessor accessor = share_mem.CreateViewAccessor();
            
            // Write data to shared memory
            int size = accessor.ReadInt32(0);
            char[] data = new char[size];
            accessor.ReadArray<char>(sizeof(int), data, 0, data.Length);
            string str = new string(data);
            Console.WriteLine("Data = " + str);
            
            // Dispose resource
            accessor.Dispose();
            share_mem.Dispose();
        }
    }
}

このサンプルでしていることは大きく以下の2つです。

  • 共有メモリの作成
  • 共有メモリへの書き込み

共有メモリを作成するには、MemoryMappedFileクラスのCreateNewメソッドを使います。引数には共有メモリ名とそのサイズを指定してあげます。今回は「shared_memory」という名前で1024バイトのメモリを確保しています。

次に共有メモリへの書き込みです。共有メモリにデータを書き込むには、CreateViewAccessorメソッドでMemoryMappedViewAccessorのインスタンスを生成し、それを経由して書き込む形になります。Writeメソッドの引数は書き込む位置(先頭からオフセット)と書き込むデータです。

今回だと、共有メモリの先頭に256という整数値を書き込んでいます。書き込みが済んだらMemoryMappedViewAccessorのインスタンスは破棄しておきます。

読み取り側(クライアント)

次は読み取り側(以下、クライアント側)です。サーバー側で作った共有メモリからデータを読み込むサンプルは以下のようになります。

C#
using System;
using System.IO.MemoryMappedFiles;

namespace MemoryMappedFileClient
{
	class Program
	{
		static void Main(string[] args)
		{
			// Open shared memory
			MemoryMappedFile share_mem = MemoryMappedFile.OpenExisting("shared_memory");
			MemoryMappedViewAccessor accessor = share_mem.CreateViewAccessor();

			// Write data to shared memory
			int data = accessor.ReadInt32(0);
			Console.WriteLine("Data = " + data);

			// Dispose resource
			accessor.Dispose();
			share_mem.Dispose();
		}
	}
}

クライアント側でもサーバー側同様にMempryMappedFileのインスタンスを生成するのですが、ここでは作成済みの共有メモリを開くので、OpenExistingメソッドを使います。引数にサーバー側で指定したのと同じ名前を渡せば、共有メモリを開くことができます。

あとは同様にMemoryMappedViewAccssorのインスタンスを取得して読み込むだけです。今回は整数値が書き込まれていることを期待しているので、ReadInt32メソッドを使います。

サーバー側を実行している状態でクライアント側を実行すると、以下のように2つのプロセス間でデータが共有できていることが確認できます。

Data = 256

もう少し高度な使い方

先のサンプルでは1つの整数値を共有しましたが、これだけではあまり実用性がありません。次はもっと複雑なデータ、例えば文字列を共有する方法を考えてみます。

書き込み側(サーバー側)

まずはサーバー側のサンプルです。

C#
using System.IO.MemoryMappedFiles;

namespace MemoryMappedFileServer
{
	class Program
	{
		static void Main(string[] args)
		{
			// Open shared memory
			MemoryMappedFile share_mem = MemoryMappedFile.CreateNew("shared_memory", 1024);
			MemoryMappedViewAccessor accessor = share_mem.CreateViewAccessor();

			// Write data to shared memory
			string str = "Hello World";
			char[] data = str.ToCharArray();
			accessor.Write(0, data.Length);
			accessor.WriteArray<char>(sizeof(int), data, 0, data.Length);

			// Dispose accessor
			accessor.Dispose();

			// Sleep
			while (true) System.Threading.Thread.Sleep(1000);
		}
	}
}

文字列を書き込む場合は、string型ではなくcharの配列として書き込むことになります。このとき、メモリの先頭に文字列の長さを書き込んだ後、WriteArrayメソッドでデータ列を書き込むのがポイントです。WriteArrayに指定する開始位置はメモリ先頭にデータ長が書いてあることを考慮して、sizeof(int)バイトだけずらしています。

読み込み側(クライアント側)

続いてクライアント側のサンプルです。

C#
using System;
using System.IO.MemoryMappedFiles;

namespace MemoryMappedFileClient
{
	class Program
	{
		static void Main(string[] args)
		{
			// Open shared memory
			MemoryMappedFile share_mem = MemoryMappedFile.OpenExisting("shared_memory");
			MemoryMappedViewAccessor accessor = share_mem.CreateViewAccessor();

			// Write data to shared memory
			int size = accessor.ReadInt32(0);
			char[] data = new char[size];
			accessor.ReadArray<char>(sizeof(int), data, 0, data.Length);
			string str = new string(data);

			Console.WriteLine("Data = " + str);

			// Dispose resource
			accessor.Dispose();
			share_mem.Dispose();
		}
	}
}

クライアント側でデータ列を読み込むにはそのサイズを知る必要がありますが、データ列のサイズはサーバー側がメモリ先頭に書いてくれています。そこで、ここではReadInt32メソッドでデータ長を取得した後、その分だけReadArrayメソッドでデータ列を読み込むようにしています。このときもReadArrayの読み込み開始位置に注意です。

実行した結果がこんな感じ。サーバー側から書いたデータ列をクライアント側から過不足なく読み取ることができました。

Data = Hello World

この他にも、シリアライズ/デシリアライズに対応したクラスであれば、クラスのインスタンス自体の共有も可能になります。そこまでできれば色々と応用が利きますね。

ではではノシ

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Ryo Yoneyama

とある会社でソフトウェアエンジニアをしています。技術的な備忘録を中心にまとめてます。ネタがあれば日記も書きます。

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